バブル景気の真っ只中、阪神タイガースの優勝に沸き日航ジャンボ機が墜落した…そんな1985年、誰もが驚愕した異形の大型筐体ゲームが現れた。その名は『ハングオン』。後のアーケードシーンの流れを作る「体感ゲーム」の記念すべき第一弾タイトルである。そしてそのわずか4ヶ月後、さらなる驚きと興奮を持って迎えられたゲームが登場する。
それが『スペースハリアー』だった!
「キャビネットが自機にあわせて可動する」というかつて無いプレイ感覚に、「よけて撃つ」のみという虚飾を廃したシンプルが故に圧倒的に高いゲーム性。超高速かつなめらかな擬似3D描写に32,000色の当時としては比類無く美麗なグラフィック。そしていつまでも耳に残る美しいサウンド。1985年当時のゲームセンター内でも文句なしにずば抜けた存在で、その迫力と臨場感はこれからのビデオゲームの未来を感じさせずにはいられないタイトルだったのだ。
なお、同年に発売された有名タイトルはコナミの『グラディウス』にカプコンの『魔界村』等々。1983年の『ゼビウス』ブームを抜け「NEXT」が台頭してきた年だったと言えよう。しかしセガにとっての1985年はハングオンやスペースハリアーなどの体感ゲームをもって「NEXT」ではなく「NEW CENTURY」を切り開いた年であり、アーケード界に於いて後に続く「セガ黄金期」の礎を築いたマイルストーンでもあったのだった。
アーケードゲームにおける人気のバロメーターの1つとして「家庭用機への移植」が数えられるだろう。アーケードのヒット作は多くの場合コンシューマもしくはPCで発売されてきた(特にアーケードとの差が顕著だった昔はなおさらニーズが高かった)。
セガマークIII版
MZ-700版
ことスペースハリアーはコンシューマ機では、セガが世界に誇る天才プログラマー中裕司氏による漢らしい移植っぷりを絶賛されたMKIII版を筆頭に、ファミコン・ゲームギア・PCエンジン・32X・サターン・ドリキャス(シェンムー1・2、GAMEWORKS1)・GBA(海外版のみ)・PS2で移植&リメイク(という名目の改悪版)・3DS・PS4(龍が如く0)と、実に多く発売されてきた。
パソコンではPC-6001mk2・PC-8801・FM77AV・X1・X68000、さらにはAmigaやAmstradCPCなどの数々の海外ハードにも移植され、タイピングソフトとしてWindowsでも出された。そしてi-modeやスマホと圧倒的な移植数を誇る!
セガタイトル中でもファンタジーゾーンやアフターバーナーをも越えトップクラスの移植数を誇るのだった。
今後も新ハードが出れば移植される可能性は高いだろう。単なる「移植作」に留まらず、3DS版のようにハード独自の付加価値を持たせたものが産み出されることを期待したい。ここ数年は「鈴木裕作品の1つ」として括られることが多いが、これから先も数々のハードに移植され、多くのゲーマーにその楽しさを広げていって欲しいと願わずにいられない。